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2014年9月29日月曜日

Vol.7『東京バンドワゴン』小路 幸也

こんにちは。Fukaです。
ご無沙汰しているうちに、季節はすっかり秋になってしまいました。


気を取り直して……


昨今は都会を中心に核家族化が進み、
サザエさん一家やちびまるこちゃん一家のような
三世代同居の家庭はどんどんと減っていますよね。

大人数でワイワイガヤガヤの生活って楽しいそうだなあと思いつつ、
でもやっぱり配偶者の親との同居はちょっと…とか、
自分の親だとケンカばかりしてしまいそうだし…とか、
億劫に思ってしまう自分がいたりして。
なんだかつまらんオトナになったなあと、私なんかは自分にゲンナリしまうのです。

そんな現代っ子ママ(?)を癒してくれるのが、『東京バンドワゴン』
大家族への“憧れ”の部分をファンタジックに描いた温かい作品です。
ドラマ化されたので、ご覧になった方もいるかもしれません。
(私はテレビ事情に疎いので見たことないのですが…)



東京のとある下町に明治時代から続く古本屋「東京バンドワゴン」。
お話は、そこに暮らす堀田家の個性豊かな面々を中心に展開します。
堀田家は、古本屋店主の勘一(79)から曾孫の花陽(12)・研人(10)まで、
三世代ならぬ四世代の大家族。
伝説のロック歌手、画家で未婚の母、元大学講師のフリーライター、
プレイボーイの旅行添乗員…と、ちょっとワケありな家族が集まれば、
良いこと悪いこと、大小さまざまなハプニングが勃発するわけで…。

そんな堀田家の家訓のひとつは、
「文化文明に関する些事諸問題なら、如何なることでも万事解決」。
下町のご近所さんも巻き込んで、次々と起こる事件を解決していきます。

笑いあり涙あり、ときに胸キュンもあり。
でも、最後にはいつも、家族っていいな、
人とつながるっていいなと思えるストーリーばかり。

現在までにシリーズ9冊が刊行されているのですが、
次第に堀田家の謎が解き明かされていくこともあり、ついついハマってしまいます。
来春にはなんと第10弾が発表される予定だとか。楽しみです!


読書の秋、『東京バンドワゴン』の世界に、私もまた浸ってみようかな。

2014年6月14日土曜日

Vol.6『パパは今日、運動会』山本 幸久

むしむしベタベタ、梅雨ですね。洗濯物乾きませんね。いやですね。
子どもも外で遊べず、親子共々モヤモヤがたまってきますよね。
うーん、うーん、うーん…。むむむっ! コラーっ!!!
(平日は保育園に預けているわが家でもこんな状況です)

そんな行き詰まったとき、爆発しそうなとき(したとき)に…
ということで、今回は山本幸久『パパは今日、運動会』を選んでみました。



舞台は、カキツバタ文具株式会社の社内大運動会。
社員が赤組・白組に別れてさまざまな競技を競い合うのですが…

社員もその家族も、個性豊かなことこの上なし!

加齢臭を隠すためのオーデコロンがトイレの防臭剤なみにぷんぷん、
営業二課・井草課長。

誰が見てもそれとわかるカツラをかぶり、社長ヨイショ命。
社内一の嫌われ者、人事課・千葉課長。

37歳にして独身寮住まい、趣味はコスプレ。
運動会の発起人でもあるお調子者、武藤。

58歳にして「プリキャラ」大好き、ピンク大好き、高城輝の母。

…などなど、冒頭の登場人物紹介を読むだけですでに楽しい! そんな小説です。

玉入れ、親子デカパン、騎馬戦、借り物競争…と競技は白熱しますが、
その間にさまざまな小事件が勃発。
そして最後には、衝撃の1シーンも待っています。

山本幸久さんの作品は、登場人物のキャラクターがすばらしい。
「あー、いるいるこんな人」と思わず誰かと重ねてしまうはず。
でも、100%悪者はいない。いやなヤツでもどこか愛すべきところがある。
そんな人間の多面性をおもしろおかしく、そしてやさしく描きます。

本作で山本ワールドにハマった方、本当にどれも外れがありませんので、
この梅雨、図書館やAmazonで一括借りor購入もおすすめですよー!

Fuka

2014年4月25日金曜日

Vol.5『くうねるところすむところ』平 安寿子

ずいぶんご無沙汰しているうちに、季節はすっかり春。
晴れた空の下、駆けまわる子どもの姿を目で追いながら、
ごはんを食べて、ビールを飲んで、ごろんとして、本を読んで…。
うーん、最高じゃないですか!(私の場合) 

さて、今回ご紹介するのは、平 安寿子・著『くうねるところすむところ』。




冴えない人生に嫌気が差した30歳・女・編集者が、
ひょんなきっかけで土建屋の世界に転身し、
飛び込んだ先の工務店で奮闘するストーリー。

ひと言でいってしまうとそうなのですが、
平さんの作品は、細かい部分がおもしろいんです。
思わず、ムフフっとしてしまう。

たぶんそれは、とってもリアルだから。

感情的で計算高くて人間くさくて生活のにおいがぷんぷんする。
この世に生きる人の97%くらいの日常は、そういうものだと思うんです。
それを、裏表のない言葉と着飾らないまっすぐな表現、
そして絶妙なユーモアで、平さんは描いてくださる!

とくに女性は、根源的な部分で共感できるんじゃないかなと思い、
ママ向け、というよりは、さまざまな世代の女性におすすめしたくて、選びました。

うーん、なんだか本の紹介ではなく、作者の紹介になっていますが、
ちょっとお疲れ気味のママたちも、
『くうねるところすむところ』を読んだあとには、
「よし、私もやるか!」と前向きな気持ちになっているはず。

新しいスタートの季節にぴったりな1冊です。
(あれ、こじつけっぽい…!?


2014年3月10日月曜日

Vol.4『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦


子育て、家事、仕事…と毎日忙しいママたちに向けて、
息抜きになる“楽しい読書”をご提案する…
というコンセプトで始めたこのブログ。
「ちょっとした時間でも読める」とか、
「疲れた気持ちが、ちょっとほっこりする」とか、
「ポジティブなプチ現実逃避ができて元気になれる」とか、
これまではそういうことを意識して本を選んできました。

でも、今回は、やめます。

自分が心から「おもしろい!」と思える本を、
ご紹介したいと思います。

それが、森見登美彦・著『夜は短し歩けよ乙女』。



舞台は京都のとある大学。
物語は、冴えない大学生“私”と、
彼が恋して止まない“黒髪の乙女”を中心に展開します。

ジャンルとしては、現実とファンタジーの
ハイブリッド小説とでもいいましょうか。
不思議な人たちとの出会い、そして不思議なできごとが次々と起こります。

錦鯉を育てて売っている、東堂さん(♂)。
自称「天狗」の学生(たぶん)、樋口さん(♂)。
お酒を鯨飲し、酔ったら人の顔を舐めるという美女、羽貫さん(♀)。
謎多き夜の京のお大尽、李白翁(♂)。
恋の願掛けで1年間同じパンツをはき続けるパンツ総番長(♂)。
などなど、個性豊かな登場人物がたくさん。
そして何より、黒髪の乙女が、もうたまらなくキュートなのです。

登場人物も出来事も、非現実的な香りがプンプンするのに、
「あ、なんかこの人知ってる」「あ、この感じ、なんかわかる」
と思わせる何かがあるところが、
ファンタジー系が苦手な人も含めて、
この小説にハマってしまう人続出の理由なのかもしれません。

独特の文体もまた、この小説の魅力です。
くだらないことを仰々しい言葉で描くことで生まれるギャップが、
何ともいえずに楽しいのです。

森見さんの作品は、どれもとってもおすすめです。
まだ読んだことのない方はぜひ、
この『夜は短し歩けよ乙女』で、森見ワールドをご堪能あれ〜!

最後にとってつけたようですが、
忙しいママにとっては最強の現実逃避になること間違いなしです!

2014年1月26日日曜日

Vol.3『たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン

「ねえ、ムーミン。こっち向いて♪」
…思わず口ずさんでしまいませんでしたか?
幼い頃にムーミンをテレビアニメで見たという方、
私たち子育て世代には、多いのではないでしょうか。

キャラクターとしても大人気のムーミンですが、
「読みもの」としてもおすすめです。



本の中では、ムーミン谷に暮らす主人公のムーミントロールと
その仲間たちの生活が、いきいきと描かれています。

挿し絵もありますが、自分で空想を膨らませながら読むと、
アニメとはまた違った楽しさが味わえるはず。


そして、ムーミンの魅力は、その奥深さにあると思います。
一般的には、「児童文学という枠を超えた哲学的な思考」
のように堅い言葉で評されることもありますが、
そんなふうに構えて読む必要はありません。
作品のどの部分に何を感じるかは、読み手次第。
表面的に楽しいだけでなく、読みながらいろいろなことに
思いを馳せることができるという意味で、「奥深い」作品だと思います。

講談社「青い鳥文庫」は、子ども向けに編まれたものですが、大人も十分に楽しめます。
(『たのしいムーミン一家』をはじめ、ムーミンシリーズは8冊刊行されています)
本を読む習慣がない方でも、気軽に読めるのでおすすめです。
小学生くらいのお子さんでしたら、夜の読み聞かせにもいいかもしれませんね。

追記:
ちなみに、今年はムーミンの著者、
トーベ・ヤンソンの生誕100周年なのだそうですよ。

ムーミン公式ホームページ
http://www.moomin.co.jp/


Fuka

2014年1月8日水曜日

Vol.2『阪急電車』有川浩

あけましておめでとうございます。

「楽しい読書アドバイザー」としての活動を広げていくこと。
私の、2014年の目標のひとつです。


さて、今回ご紹介するのは、有川浩さんの『阪急電車』。
映画化された作品なので、ご存知の方も多いかもしれません。
(有川作品は続々と映画化されていますね!)





















私は普段、電車で移動することが多いのですが、
たまたま同じ車両に乗り合わせた人々に思いを馳せるのが、
ちょっとした趣味です(ジロジロ見ては、いけませんが)。

とくに、昼下がりの空いた電車はおもしろい。
この人は、どこへ何をしに行くんだろう。誰と会うんだろう。
なんだかうれしそう。あれ、悲しそう。
イヤホンでどんな音楽を聴いているんだろう。
どんな本を読んでいるんだろう(ブックカバーの下が気になる〜)。

小さな子どもを連れていると、席を譲ってくださる方、
声をかけてくださる方もけっこういますよね。
そんなちょっとした心遣いに、とっても癒されたり…。

偶然同じ車両に乗り合わせる確率を考えると、この出会いは奇跡に近い。
一人ひとりに人生があって、もちろん、そこでは彼らが主役。
脇役の私は、どんな風に映っているんだろう。疲れた顔、してないかな…。
そんなことをつらつら考えながら、電車に揺られるのは楽しいものです。


『阪急電車』は、そんな車内での小さな奇跡を描いた作品です。
阪急今津線(兵庫県の西宮と宝塚を結ぶ線です)を舞台にした
16のエピソードは、少しずつ、でもしっかりとつながっています。
人は、お互いに気づかないうちに影響し合って生きているんだということ、
人生は、偶然のような必然のような奇跡の連続であることを、
ふと思い出させてくれる一冊です。

前回に引き続き…ですが、この本もエピソードごとに読めるので、
忙しいママにも、ちょっとしたリフレッシュにもおすすめ。
文庫にもなっているので、カバンに1冊、いかがでしょうか。

追記:
ま、車内でぼんやり考えごとをする時間も余裕も、
子どもといっしょだと、まったくないんですけどね。


楽しい読書アドバイザー Fuka

2013年12月14日土曜日

Vol.1『とりつくしま』東 直子

前に好きな本を読んだのはいつですか?
そういえば子どもが産まれてから、読んでないなあって方、
けっこう多いのではないでしょうか。

だって、一人でゆっくりできる時間なんて、ないですもんね…。
家で読んでたら、子どもが近づいてきて、本を奪いますもんね…。

そんなママたちと、日常からふわっと浮いた時間を共有したくて、
超個人的観点からではありますが、
少しずつ、おすすめの本を紹介していこうと思います。


初回にご紹介するのは、東直子さんの『とりつくしま』。




「誰か」が「何か」にとりつくお話なのですが、
それを言ってしまうとネタばらしのようになってしまうので、
ここではあえて伏せておきますね。

短編集のように綴られているので、
細切れにしか時間がとれないママにもおすすめです。
子どもがパパとお風呂に入っている間に一篇…なんてこともできちゃいます。

この本の魅力は、この世界を愛おしむ気持ちが持てること。
なんて言うと、大げさかもしれませんが、
一篇読むごとに、身のまわりの「もの」にふと目がいきます。
そして、少し悲しいけど、優しい気持ちになれることと思います。

子育てに疲れて、ため息が出てしまったとき、
大切な家族とついケンカをしてしまったとき、
開いてみてほしい一冊です。

あなたの「誰か」も、「何か」にとりついているかもしれませんよ。


楽しい読書アドバイザー・Fuka