2014年3月10日月曜日

Vol.4『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦


子育て、家事、仕事…と毎日忙しいママたちに向けて、
息抜きになる“楽しい読書”をご提案する…
というコンセプトで始めたこのブログ。
「ちょっとした時間でも読める」とか、
「疲れた気持ちが、ちょっとほっこりする」とか、
「ポジティブなプチ現実逃避ができて元気になれる」とか、
これまではそういうことを意識して本を選んできました。

でも、今回は、やめます。

自分が心から「おもしろい!」と思える本を、
ご紹介したいと思います。

それが、森見登美彦・著『夜は短し歩けよ乙女』。



舞台は京都のとある大学。
物語は、冴えない大学生“私”と、
彼が恋して止まない“黒髪の乙女”を中心に展開します。

ジャンルとしては、現実とファンタジーの
ハイブリッド小説とでもいいましょうか。
不思議な人たちとの出会い、そして不思議なできごとが次々と起こります。

錦鯉を育てて売っている、東堂さん(♂)。
自称「天狗」の学生(たぶん)、樋口さん(♂)。
お酒を鯨飲し、酔ったら人の顔を舐めるという美女、羽貫さん(♀)。
謎多き夜の京のお大尽、李白翁(♂)。
恋の願掛けで1年間同じパンツをはき続けるパンツ総番長(♂)。
などなど、個性豊かな登場人物がたくさん。
そして何より、黒髪の乙女が、もうたまらなくキュートなのです。

登場人物も出来事も、非現実的な香りがプンプンするのに、
「あ、なんかこの人知ってる」「あ、この感じ、なんかわかる」
と思わせる何かがあるところが、
ファンタジー系が苦手な人も含めて、
この小説にハマってしまう人続出の理由なのかもしれません。

独特の文体もまた、この小説の魅力です。
くだらないことを仰々しい言葉で描くことで生まれるギャップが、
何ともいえずに楽しいのです。

森見さんの作品は、どれもとってもおすすめです。
まだ読んだことのない方はぜひ、
この『夜は短し歩けよ乙女』で、森見ワールドをご堪能あれ〜!

最後にとってつけたようですが、
忙しいママにとっては最強の現実逃避になること間違いなしです!